家具のオハナシ
*「こぉと」計画中に感じたことを様々な切り口のオハナシで綴っていきたいと思います*
オーダーしてから数か月待ち望んでいたラウンジチェアが先日届き、やっと「こぉと」の全ての家具が揃いました。当初の予定ではメインの空間にはポール・ケアホルムのPK80を真ん中に一つだけ設置するはずでした。そこに座って壁のアートを眺める、そんなイメージがずっと頭の中にあったからです。けれど予算を抑えるために大幅に空間の使い方を見直したことから、アートを展示するのもセミナーを開催するのも同じ空間にまとめることに。結果、実際の住空間で楽しむように作品を見ることになってとても満足しています。建築業界に長くいた身としては予算を大幅にカットするには小手先の減額ではどうにもならないことをよく知っています。その一方で予算があるからといって出来上がりに大満足という訳でもないことも熟知しているつもりです。コストに加え余分なものをそぎ落としていくと空間のコンセプトまで明確になっていく、そんなプロセスはとても貴重でかつ楽しいものでした。
さてそのためセミナー用のテーブルや椅子、コーナーに置くラウンジチェアなどが同じ空間に存在することとなり、建築を担当してくださった長坂氏からも家具の情報をいただいたのですが、そこはやはり私のスタイルを貫くことにしました。私のスタイルとはずばりミックススタイル。
シンプルで和のホワイトキューブのような「こぉと」ならば北欧のいわゆる名作家具やイタリアの家具だとスーパーレジェーラあたりがしっくりくるでしょう。けれど予算にも限りがあるし、なによりオサマリすぎてつまらない。そしてぼんやりと頭に浮かんだのが、今回は日本の家具ブランドで決めたい、それに加え修道院にあるようなソリッドでシンプルな椅子の原型といったデザインのものを選びたいということでした。(修道院でどのような椅子を使っているかはよく知りませんが、これはあくまで言葉としてのイメージとご理解ください。)あくまでアートが主役になるような、アートの存在を邪魔しないような、そんな椅子やテーブルです。
その基準で選んでいって最後まで残ったのがタイム&スタイルとカリモクケーススタディの2つのブランド。ご存じの方も多いかと思いますが、後者はデンマークのNorm Architectsというデザインスタジオをディレクターに迎えカリモクが立ち上げたブランドです。この2つのブランドの間で少しばかり悩みました。ただカリモクケーススタディはとても素敵なデザインなのだけれど、どうしてもお家感が強くなってほっこりしそうな気がして。。。普通のお住まいならオススメしたくなるデザインなのですが、今回はビューイングルーム。よってタイム&スタイルに軍配が上がり、その中でも一番シンプルなデザインの椅子とテーブルに決めました。
これらの椅子とテーブルにどんなラウンジチェアをコーディネートするか?もちろん同じブランドで統一するのは絶対にNG。そこでラウンジチェアだけは”名作椅子”を合わせることにしました。そしてここでもハンス J.ウェグナーのCH25とポール・ケアホルムのPK25の2つまで絞りましたがこの2者択一は割と簡単に決まりました。CH25だとタイム&スタイルの椅子とテーブルが木の温かさに引っ張られて、空間にシャープさがなくなってしまう。スチールが印象的なPK25をコーディネートすると良い意味での緊張感といったものが保たれます。なにより背と座面に麻紐が使われているため他の家具ともバランスよく、ほんの少し柔らかい印象を空間に与えることができるだろう、とPK25に決定。ラウンジチェアがパズルの最後の1ピースのようにハマった段階で、「こぉと」の空間が私の頭の中で完璧に完成しました。
インテリアは感性が重んじられるような印象があるかと思いますが、私はどちらかというと理論的なものだと考えています。ミックスインテリアで空間を作り上げる場合は特にです。”混ぜるな危険”のアイテムやスタイルがあって、うっかり混ぜてしまうと有毒ガスが発生してしまう(笑)。素晴らしいインテリアを目にすると、そこにはセンスの良さだけでなく、緻密に計算された足跡のようなものを感じることがよくあります。
さてシンプルさを念頭において選んだ椅子ですが、座り心地がとてもよくテーブルに至ってはカーブのところを触っているととても気持ちが良いとセミナー受講者の皆さんにも大評判。もちろんPK25に座った時の見た目とは相反する安定感も最高です。良いデザインの家具は使い勝手も同じく良いということを改めて実感しました。
「こぉと」の計画で、私は家具選び、そしてそれらのコーディネートの原点に立ち返ったような気がするのです。
オーダーしてから数か月待ち望んでいたラウンジチェアが先日届き、やっと「こぉと」の全ての家具が揃いました。当初の予定ではメインの空間にはポール・ケアホルムのPK80を真ん中に一つだけ設置するはずでした。そこに座って壁のアートを眺める、そんなイメージがずっと頭の中にあったからです。けれど予算を抑えるために大幅に空間の使い方を見直したことから、アートを展示するのもセミナーを開催するのも同じ空間にまとめることに。結果、実際の住空間で楽しむように作品を見ることになってとても満足しています。建築業界に長くいた身としては予算を大幅にカットするには小手先の減額ではどうにもならないことをよく知っています。その一方で予算があるからといって出来上がりに大満足という訳でもないことも熟知しているつもりです。コストに加え余分なものをそぎ落としていくと空間のコンセプトまで明確になっていく、そんなプロセスはとても貴重でかつ楽しいものでした。
さてそのためセミナー用のテーブルや椅子、コーナーに置くラウンジチェアなどが同じ空間に存在することとなり、建築を担当してくださった長坂氏からも家具の情報をいただいたのですが、そこはやはり私のスタイルを貫くことにしました。私のスタイルとはずばりミックススタイル。
シンプルで和のホワイトキューブのような「こぉと」ならば北欧のいわゆる名作家具やイタリアの家具だとスーパーレジェーラあたりがしっくりくるでしょう。けれど予算にも限りがあるし、なによりオサマリすぎてつまらない。そしてぼんやりと頭に浮かんだのが、今回は日本の家具ブランドで決めたい、それに加え修道院にあるようなソリッドでシンプルな椅子の原型といったデザインのものを選びたいということでした。(修道院でどのような椅子を使っているかはよく知りませんが、これはあくまで言葉としてのイメージとご理解ください。)あくまでアートが主役になるような、アートの存在を邪魔しないような、そんな椅子やテーブルです。
その基準で選んでいって最後まで残ったのがタイム&スタイルとカリモクケーススタディの2つのブランド。ご存じの方も多いかと思いますが、後者はデンマークのNorm Architectsというデザインスタジオをディレクターに迎えカリモクが立ち上げたブランドです。この2つのブランドの間で少しばかり悩みました。ただカリモクケーススタディはとても素敵なデザインなのだけれど、どうしてもお家感が強くなってほっこりしそうな気がして。。。普通のお住まいならオススメしたくなるデザインなのですが、今回はビューイングルーム。よってタイム&スタイルに軍配が上がり、その中でも一番シンプルなデザインの椅子とテーブルに決めました。
これらの椅子とテーブルにどんなラウンジチェアをコーディネートするか?もちろん同じブランドで統一するのは絶対にNG。そこでラウンジチェアだけは”名作椅子”を合わせることにしました。そしてここでもハンス J.ウェグナーのCH25とポール・ケアホルムのPK25の2つまで絞りましたがこの2者択一は割と簡単に決まりました。CH25だとタイム&スタイルの椅子とテーブルが木の温かさに引っ張られて、空間にシャープさがなくなってしまう。スチールが印象的なPK25をコーディネートすると良い意味での緊張感といったものが保たれます。なにより背と座面に麻紐が使われているため他の家具ともバランスよく、ほんの少し柔らかい印象を空間に与えることができるだろう、とPK25に決定。ラウンジチェアがパズルの最後の1ピースのようにハマった段階で、「こぉと」の空間が私の頭の中で完璧に完成しました。
インテリアは感性が重んじられるような印象があるかと思いますが、私はどちらかというと理論的なものだと考えています。ミックスインテリアで空間を作り上げる場合は特にです。”混ぜるな危険”のアイテムやスタイルがあって、うっかり混ぜてしまうと有毒ガスが発生してしまう(笑)。素晴らしいインテリアを目にすると、そこにはセンスの良さだけでなく、緻密に計算された足跡のようなものを感じることがよくあります。
さてシンプルさを念頭において選んだ椅子ですが、座り心地がとてもよくテーブルに至ってはカーブのところを触っているととても気持ちが良いとセミナー受講者の皆さんにも大評判。もちろんPK25に座った時の見た目とは相反する安定感も最高です。良いデザインの家具は使い勝手も同じく良いということを改めて実感しました。
「こぉと」の計画で、私は家具選び、そしてそれらのコーディネートの原点に立ち返ったような気がするのです。
- 関連記事
-
- 建具のオハナシ (2021/07/23)
- 家具のオハナシ (2021/07/19)
- 黒と白のオナハシ (2021/03/28)
コメント