時代は移れど、、、
笑われるのを覚悟で書きますが、ワタクシ写真が上手だとよく褒められます。インスタグラムを始めさらにその写真センスは磨かれたようで(勘違いも激し過ぎる、、、)、遅咲きながら(遅過ぎるし、そもそも咲いてへんし、、、)自分の才能に驚いている次第。(←はい、アホかと全員で突っ込んでください、、、)
けれど私が若かった頃にはこんなに毎日「写真に納めたらどんな構図になるんだろう?」と考える日々が訪れるとは想像もしませんでした。オソロシイ世の中です。スマホの登場は私たちのような素人さんと写真の関係性を全く異次元へと導いてしまった感があります。だって昔なら普通の人が写真を撮る時って、せいぜい観光地でカメラを構える、何かの記念に皆と一緒に写真に納まる、そんなとこでしたよね。
作ったご飯を写す~!?自分の買った洋服を写す~!?ましてや自撮り~!?当時なら全部”ありえん行為”ですよ。
と、まあ、私もそんな”ありえん行為”にせっせと日々勤しんでいる訳なんですが、構図を考える時によく思い出すエピソードがあります。
今日は長いです。でも面白いです(たぶん、、、)。お時間ある方続きをどうぞ。。。
大昔初めてNYをマイソウルメイトTさんと訪れた時のこと。今でこそ時差にめっぽう強い私ですがその時は本当に本当につらかったんです。ホテルの空調のなんかが夜中ずっとガンガラガンガラ鳴ってて全然眠れず、MOMAではなんと”立ったまま眠る”という奇妙な現象を経験。そんな中美術館のカフェでぐったり?くつろいでいると、カメラを首からぶら下げたアッメリカ~ンなカンコーキャクの気の良さそうなおじさんが私たちの方にニコニコしながら近づいてきました。
「なになにオッチャンナンパかいな?」と身構えた私たち。(うんと昔なんで当然ながら私たちも一応うんと若かったんで、、、)するとオッチャン曰く「後ろにあるモノクロの写真と私たちの黒い髪のコントラストがすごくかっこいいんで是非写真に撮りたい!」と言うのです。「そないなことならどーぞどーぞ。」とオッチャンの指示通り2人で何気にコーヒー飲むてい”でパシャパシャされました。
何枚か撮ってオッチャンは満足げに「すっごい良いショットが撮れたよ!」とかなんとか言って立ち去って行ったのです。そう、その頃はデジカメなんてものはなくホンマに良い写真が撮れたのかどうかも謎のまま。。。でもその時に「へ~写真撮るのが好きな人ってそんな風に景色を捉えてるんだ~て、」とっても記憶に残ったんですね。
時は流れ、昨年のアートバーゼルでの出来事。一人で会場をふらふらしてるとアーティスト然とした若者がなにやら近づき話しかけてきました。さすがにもう「ナンパ?」とは思いませんよ、、、「新手の詐欺?」くらいには思うけど、、、
聞くとですね、、、笑わんとってくださいよ、、、、ホンマに言うたんですよ、、、
「その写真作品を観ている姿がとっても素敵だからインスタに上げたいんだけど、観てるとこ撮ってもいいですか?」て。その時NYの出来事が鮮明に蘇ってきたんです。あのことがなければ「いやん、こんな若い男の子に素敵って言われたやん、ワタシ♡」と大いなる勘違いをしたでしょうが、すぐに理解したんです。ちょうどその作品の前には黒い髪の東洋人の姿がすごく合うんだって。。。
なので「ショア~」と快く応じ、またしても”観てるてい”でカシャリカシャリされたんですね。何枚か撮って「すっごい良いのが撮れたよ!ありがとう!」と爽やかに言い放ち立ち去ろうとする青年。
しかし年月の流れとはオソロシイものです。歳を重ね人を簡単に信用できなくなったオバチャンは「ちょっと待てよ、、、いくら黒髪の東洋人とはいえ、お世辞使って写真を撮るとは?彼はアーティストで私の画像が作品のシニカルなメタファーかなにかに利用されたら???」と疑心暗鬼マックス。
そこで青年に「ちょお、ちょお、にいちゃん、待って。写真見せて!」と食い下がる。今度は青年が「ショア~」と画像を見せてくれたところ「いやん、なに~めっちゃ素敵に撮ってくれてるや~ん!」 その画像を携帯アドレスに送ってもらおうかとを一瞬頭をよぎったくらい、、、しかしそんなことすると今度はこっちがナンパしてるみたいやん、キショクワル過ぎるやろ、、、とあれこれ思考しているうちに青年は「じゃあね」と人ごみに消えていったのでした。
カメラからスマホに変遷していたとはいえ、常に風景を切り取る、そして構図を考える、そこになにを入れる、それは普遍的なことなんですね。そんなことも思いつつまた明日から私はカシャリカシャリの日々を送るのです。
*そんなこんなのインスタグラムも是非覗いてみてくださいね!
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