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2016/05/17

岩名泰岳展 オイテケボリ ノ キミニ キセキヲ~ギャラリーほそかわ

何度もここでご紹介している岩名泰岳氏の個展が始まりました。「素晴らしい!」の一言に尽きます。

一番最初に観た岩名氏の作品は庭で死んでいる鳥の様子を描いたものでした。その色使いや構図になんだかビビビッときたのを今でも鮮明に覚えています。ドイツに暮らし帰国後は郷里に腰を落ち着け、自らを取り巻く自然や村の信仰などをモチーフに制作を続けている岩名氏。以前も書きましたが、岩名作品はワインとテロワールの関係のごとくその土地と作品が密接に関っている気がするのです。

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こちらのノートにはドイツに渡る前、そして帰国してからのドローイングが納められています。そこには作品だけではなく詩やメモのようなものなどが記され、その当時の様々な葛藤が伝わってくるかのよう。。。テーブルからは氏のアトリエでの制作風景も想像することができます。

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どの作品も素晴らしすぎてどれが一番好きか選ぼうと思っても容易ではありません。即断即決?の私にとってそれは珍しいこと。

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ずっと岩名作品をご覧になられている方はもうお気づきでしょう。以前どちらかと言うと具象的なイメージの作品だったのが抽象的なものへと変化しているような、、、私はこの変化をとても喜ばしく思っているのです。ほら、ワタシ、抽象好きだしね、、、(笑)それは冗談としてとてもうまい具合に作品が展開していってるなって感じなんです。

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これ、ちょっとド・スタールっぽい?てご本人に言ったら怒られちゃうかしら???(笑)

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もちろん中には以前の作品を思い出させる優しいタッチの作品も。。。

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制作の一方、島ケ原村民芸術「蜜の木」代表を務める岩名氏。その活動は知らない人からすれば単なる「アートで村おこし」的に聞こえるかもしれません。けれどそういったものとは明らかに一線を画し、島ケ原村から発信を続ける氏の姿勢に、私は感銘を受けるのです。きっといろんなものと闘っているんだろうな、、、

どんどん洗練度を高めていく岩名作品ですが、あの鳥の作品を最初に観た時からこの展開はわかっていたような気がします。だってあの小さな作品がすでに未来を予想できるくらいに洗練されていたから。。。

「田舎で制作された土の香りがする作品が洗練されていいの?」そんな風に思われる方もおられるでしょう。でも私はそんなレッテル貼りは余計なお世話だと思います。都会に住んでいても”田舎臭く視野の狭い人"も大勢いる。田舎に住んでいても”広い視野で物事をとらえることができるグローバルな人”だって大勢いる。むしろ田舎で暮らしている方がいろんな感性が研ぎ澄まされ、生き様だって作る作品だって洗練されてくるのではないでしょうか。

岩名氏は島ケ原村に暮らしていてもその魂は世界に向かっている。そんな気がするのです。

どうぞどうぞ、この展覧会をお見逃しなきよう。会期は6月4日迄。






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