建具のオハナシ
*「こぉと」計画中に感じたことを様々な切り口のオハナシで綴っていきたいと思います*
「インテリアにおいて一番重要なのは建具かもしれない」薄々気づいてはいましたが(笑)今回の計画でそれは全くもって正しいと確信した気がします。住宅メーカーのインテリアコーディネーターとしてキャリアをスタートさせてばかりの頃はその重要さに気づいていなかったのですが、様々な住宅の建具を見るにつけその存在の大切さを知っていきました。けれど住宅メーカーにおいては部資材はオリジナルを使うことがほとんど。もちろん家具工事として建具を作ることもありましたが、コストがかかる上に納まりの問題なども発生し会社側からはあまり推奨されていなかったのです。そのため建具の重要性を知ってはいるものの、どこかでスルーしてしまうようなところがあって、いろんな知識を積極的に得ることもありませんでした。
今回の計画ではそんなちょっと苦手な建具問題に取り組んでみたいと思っていたところ、インスタグラムで福嶋建具店を見つけ思わず心の中でこう叫んだのです。「これこれ!こんな建具を探していたの!」木製建具に加えこちらが制作している障子の感じもとても素敵。早速ひとともり長坂さんにその旨を伝えたところ、福嶋さんをご存じだったためとんとん拍子に話が進み、こぉとの建具全般をお願いすることとなりました。小さなリフォーム物件ゆえさほどの数の建具がないと思いきや、今回カーテンは使わず障子の計画だったため空間ボリュームの割に建具が多くなることに後から気づくことに。そのため福嶋氏も大変だったでしょう。なにせクライアントは私ですから。
まずは内部建具。これは突板工場まで足を運び、たくさんの練り付け合板突板の現物を見ながら選ぶことになりました。樹種の違いだけでなく選ぶ箇所や組み合わせで様々に表情を変える突板の数々。ずっインテリアコーディネーターとして働いていたにも関わらず新たに知ることばかりで、向こうからオススメしてもらったのは届いたばかりの北海道の材でした。
空間のイメージや好みを伝えると、すぐに見本板を作成してくれます。アイロンでプレスして板に貼り付け圧着。さらにそこからどの部位を除きどこをカットするかをどう合わせていくかなどをチェックして、最後にこちらの社長の絶妙な技と多くの経験から培われたであろう卓越したセンスにより、再度組み合わされイメージどんぴしゃりの見本に仕上がります。このような工程を知らずに長年私はインテリアの仕事をしていたのかと思うと恥ずかしい限りでした。でも間に合ってよかった(笑)。知識を得るのに遅すぎるということはないのですから。
次は外部の建具です。こちらは銘木屋さんに伺って長坂氏と福嶋氏があらかじめ選んでくれていた材を確認しにいきました。見た途端途端一目惚れといった私の様子を見た時の2人の安堵の表情ときたら!和の空間にも、さらには私の持っていたイメージにもぴたりとはまるとてもシックな色味の材は朴の木。その美しさとは裏腹にとても強固な材でまな板や下駄にも使われるのだとか。この材を最初に観た瞬間「出会った」という気持ちになったくらいでした。
さて、福嶋氏をかなり困らせたのが障子でした。どうしてもお願いしたかったのは横の桟が存在しない縦の桟だけの障子。インテリアのプロの方ならこれはかなりリスキーな選択だと気づかれるでしょう。横桟がないと紙が引っ張られて障子自体が歪んでくる恐れがあるからです。小さな面積の障子ならそれほどではないのですが、今回の計画では大きな面積の障子もあり、しかもその障子は空間のアイコンにもなる存在感。横桟のないデザインはそれは美しいのですが、案の定、設置してすぐに反りが発生しました。福嶋氏にとっては想定内ではあったのでしょうか?すぐに細部に工夫がなされ問題は解決。
さらに空間入口にも障子を使用したのですが、縦桟だけでも厄介なのに手がかりとして小さな引手を作ったものだから、反りがここでも発生し開閉に支障をきたすことに。ここからの処理に私は深く感動しました。職人さんたちが工場で考えあぐねた結果、障子越しには見えない(太鼓張りのため)ように細いアクリルの棒を入れることによりそれらを解決してくださったのです。
紙も木も自然素材。気温や湿度でその状態は変わります。デザインを優先させるということは自然に逆らうことでもあります。もし私がコーディネーターの立場だったならば、お客様にお薦めしたでしょうか?おそらくNOでしょう。
福嶋建具店の皆さんには大変ご迷惑をおかけしたけれど出来上がった障子を前に私はニンマリ。福嶋氏や職人さんたちのご尽力に深く深く感謝するのです。
「インテリアにおいて一番重要なのは建具かもしれない」薄々気づいてはいましたが(笑)今回の計画でそれは全くもって正しいと確信した気がします。住宅メーカーのインテリアコーディネーターとしてキャリアをスタートさせてばかりの頃はその重要さに気づいていなかったのですが、様々な住宅の建具を見るにつけその存在の大切さを知っていきました。けれど住宅メーカーにおいては部資材はオリジナルを使うことがほとんど。もちろん家具工事として建具を作ることもありましたが、コストがかかる上に納まりの問題なども発生し会社側からはあまり推奨されていなかったのです。そのため建具の重要性を知ってはいるものの、どこかでスルーしてしまうようなところがあって、いろんな知識を積極的に得ることもありませんでした。
今回の計画ではそんなちょっと苦手な建具問題に取り組んでみたいと思っていたところ、インスタグラムで福嶋建具店を見つけ思わず心の中でこう叫んだのです。「これこれ!こんな建具を探していたの!」木製建具に加えこちらが制作している障子の感じもとても素敵。早速ひとともり長坂さんにその旨を伝えたところ、福嶋さんをご存じだったためとんとん拍子に話が進み、こぉとの建具全般をお願いすることとなりました。小さなリフォーム物件ゆえさほどの数の建具がないと思いきや、今回カーテンは使わず障子の計画だったため空間ボリュームの割に建具が多くなることに後から気づくことに。そのため福嶋氏も大変だったでしょう。なにせクライアントは私ですから。
まずは内部建具。これは突板工場まで足を運び、たくさんの練り付け合板突板の現物を見ながら選ぶことになりました。樹種の違いだけでなく選ぶ箇所や組み合わせで様々に表情を変える突板の数々。ずっインテリアコーディネーターとして働いていたにも関わらず新たに知ることばかりで、向こうからオススメしてもらったのは届いたばかりの北海道の材でした。
空間のイメージや好みを伝えると、すぐに見本板を作成してくれます。アイロンでプレスして板に貼り付け圧着。さらにそこからどの部位を除きどこをカットするかをどう合わせていくかなどをチェックして、最後にこちらの社長の絶妙な技と多くの経験から培われたであろう卓越したセンスにより、再度組み合わされイメージどんぴしゃりの見本に仕上がります。このような工程を知らずに長年私はインテリアの仕事をしていたのかと思うと恥ずかしい限りでした。でも間に合ってよかった(笑)。知識を得るのに遅すぎるということはないのですから。
次は外部の建具です。こちらは銘木屋さんに伺って長坂氏と福嶋氏があらかじめ選んでくれていた材を確認しにいきました。見た途端途端一目惚れといった私の様子を見た時の2人の安堵の表情ときたら!和の空間にも、さらには私の持っていたイメージにもぴたりとはまるとてもシックな色味の材は朴の木。その美しさとは裏腹にとても強固な材でまな板や下駄にも使われるのだとか。この材を最初に観た瞬間「出会った」という気持ちになったくらいでした。
さて、福嶋氏をかなり困らせたのが障子でした。どうしてもお願いしたかったのは横の桟が存在しない縦の桟だけの障子。インテリアのプロの方ならこれはかなりリスキーな選択だと気づかれるでしょう。横桟がないと紙が引っ張られて障子自体が歪んでくる恐れがあるからです。小さな面積の障子ならそれほどではないのですが、今回の計画では大きな面積の障子もあり、しかもその障子は空間のアイコンにもなる存在感。横桟のないデザインはそれは美しいのですが、案の定、設置してすぐに反りが発生しました。福嶋氏にとっては想定内ではあったのでしょうか?すぐに細部に工夫がなされ問題は解決。
さらに空間入口にも障子を使用したのですが、縦桟だけでも厄介なのに手がかりとして小さな引手を作ったものだから、反りがここでも発生し開閉に支障をきたすことに。ここからの処理に私は深く感動しました。職人さんたちが工場で考えあぐねた結果、障子越しには見えない(太鼓張りのため)ように細いアクリルの棒を入れることによりそれらを解決してくださったのです。
紙も木も自然素材。気温や湿度でその状態は変わります。デザインを優先させるということは自然に逆らうことでもあります。もし私がコーディネーターの立場だったならば、お客様にお薦めしたでしょうか?おそらくNOでしょう。
福嶋建具店の皆さんには大変ご迷惑をおかけしたけれど出来上がった障子を前に私はニンマリ。福嶋氏や職人さんたちのご尽力に深く深く感謝するのです。