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2021/03/31

5月セミナーのご案内

5月から新スペースでのセミナーを開催します。

従来から開催していたアートビギナーの方対象の「アートと暮らす」 そして既にART NAKANOSHIMAやMA2ギャラリーイベントでアートをご購入いただいた方対象の「アートと暮らすその先に」の2コースとなります。いずれのセミナーにもケータリングユニットet saji のランチボックスをご用意しております。彼女たちからの簡単レシピトークもお楽しみに!

「こぉと」で皆様にお目にかかれますことを心から楽しみにいたしております。


「アートと暮らす」 

これからアートと暮らしてみたいという初心者の方対象です。インテリアとアートの関係性、アート豆知識など幅広い内容をお伝えします。またご自宅のインテリアでお悩みのことがありましたらそれにもお答えしてまいります。

「アートを生活に取り入れたいと思うけれどどんな風に飾ればいいの?」
「美術館で絵画を見るのは大好きだけどギャラリーは敷居が高くて、、、」
「アートとインテリアについて少し学んでからアートを購入したい」

そんなアートビギナーの皆様のご参加を心からお待ち申し上げております。

開催日時:5月12日(水)6月9日(水)に延期となりました。10時~13時 /13時~16時(2部制のゆるやかな予約制とさせていただきます)新たにお申込み受付中です。
参加費:¥15,000
場所:プライベートビューイングルーム「こぉと」
お申し込み方法:インスタグラムのDMもしくは info@allier.jpまでお名前、お電話番号、ご住所明記の上お願いいたします。
*お申込みいただいた方に追って詳細ご案内差し上げます。



「アートと暮らすその先に」

ART NAKANOSHIMA、MA2ギャラリーでのイベントでアートをご購入いただいた方対象のセミナーとなります。アートと暮らすうちに現代アートについてもっと知りたくなった、アートと生活の関係性をさらに深めたくなった、と思われる方が多くおられます。毎回テーマを絞り、本や映画の話も絡めながらアートの魅力について学んでいくセミナーです。堅苦しいお勉強というものではなく、セミナーの中では衣食住のお話にも触れていきます。

開催日時:5月30日(日)10時~13時 /13時~16時 (2部制のゆるやかな予約制とさせていただきます)
参加費:¥15,000
場所:プライベーとビューイングルーム「こぉと」
お申し込み方法:インスタグラムのDMもしくは info@allier.jpまでお名前、お電話番号明記の上お願いいたします。
*お申込みいただいた方に追って詳細ご案内差し上げます。


2021/03/28

黒と白のオナハシ

*「こぉと」計画中に感じたことを様々な切り口のオハナシで綴っていきたいと思います*

今回のインテリア・コーディネートで一番困ったのは床材。ある程度の古さを残す和空間に床だけ真っ新な板がくるというのはどうにもいただけない。それはどんな材を以てしてもでした。じゃあ、畳?いっそのことタイル?いろんなことを思い浮かべては都度消去し、その繰り返し。

そんな中突然浮かんだのはハタノワタル氏の和紙でした。確か氏のIG投稿で床の施工の話が出ていたはずと、早速建築家長坂さんに伝え、しばらくしてハタノ氏のアトリエを一緒に訪ね話を聞くこととなりました。床壁天井、全てに和紙を使った素晴らしい空間で話をするうちに、益々床に和紙を張りたいという想いが強くなり、施工を正式にお願いすることになったのです。

さて現場での和紙の施工はこんな感じ。壁だと使われる和紙は1枚張りですが、床は2枚張り。そこに柿渋を塗って乾かし、塗装し、最後にガラスコーティング。ここで皆さん「?」と思われるかもしれません。実は私自身も最初に話を聞いた時「?」となったのです。それは「色は現場で塗装するんだ」ということ。てっきりすでに染められた和紙を張っていくものと思い込んでいたからです。現場合わせと聞いて少し安心したものの、実はそちらの方が大変だと後から気づきました。サンプルのようなものが手元にあれば時間をかけてカラースキムに臨めます。しかし現場合わせとなるとよほど強いイメージを持っていなければ短時間のうちに決めるのは難しい。工事工程表のハタノさん施工日程をにらみながら、色決めには慣れっこのはずの私ですが少しプレッシャーを感じてきました。

私のイメージしていたのはアートを反映したとてもシンプルなもの。けれどそれらは自分が手に入れることは不可能で美術館で見ることしか叶わぬアートです。和風の趣を残した空間はできるだけ暗く、照明も最小限の照度に、障子から差し込む光が黒に近いグレーの床を仄かに照らす中、塗り壁には村上友晴氏の作品を。メインの部屋はそこから一転し、柔らかくほんわりとけれど潔い白の空間に仕上げたいわば和風のホワイトキューブ。そして壁にはロバート・ライマン氏の作品を。そんな風にただただ憧れでしかない作品を念頭に置き”黒の空間”から建具を開けた時に現れる”白の空間”といったドラマティックな演出を思い描いていました。さらにこの場合の黒は真っ黒ではなく墨色であること、白も真っ白ではなく暖かな白でなくてはいけません。その微妙な黒と白をハタノさんなら実現してくれると確信していたのです。

けれど最後の段階で長坂・ハタノ両氏と意見が分かれました。私は強く白と黒の世界観にこだわり、お2人はくすんだ白一色で全て統一してはとの意見。これはどちらが間違いという訳ではなくどちらも正解なのだと思います。けれど私はどうしても持たざるアートに導かれたカラースキムを信じたかったのです。

完成した黒と白の色味は完璧で、理想通りの黒の空間と白の空間へと繋がりを作ることができました。ほぼ完成し何度もその場を行き来しながらも今だにほんの少しばかりの高揚感を覚えるほどに私は黒×白の空間を気に入っています。

これからはこの空間でリアルに私のコレクションしている作品やお客様にご紹介したい作品を並べていかねばなりません。

今度は黒と白の画用紙に様々な色の絵具を乗せていくように。



2021/03/13

匙加減のオナハシ

*「こぉと」計画中に感じたことを様々な切り口のオハナシで綴っていきたいと思います*

匙加減のオハナシ

「こぉと」計画が徐々に具体化してきた頃 「こぉと×食」をどう捉えるか?と考えた際に真っ先に浮かんだのは2人の女性でした。私達3人に共通しているのは食べ物の「素」に強いこだわりがあるということ、そして毎日の食事は大切にするけれど、極力シンプルにという信念を持っていることです。「凝ったお料理は外でいただけけばいいよね」と完全に割り切っていることも共通項。「こぉと」では2人のお料理を味わってもらい、彼女たちの料理に対する理念を皆さんと分かち合いたいと、プロジェクトに参加してもらうことになりました。

ある日3人で「こぉとなごはんてなんだろう?」 そんな話になった時に自然に出てきた言葉は「匙加減」。ほんのちょっぴりの匙加減で味が決まったり、ぼんやりしたり。そんな匙加減の大切さは食以外にも当てはまる気がします。日々の暮らしの中、ちょいど良い頃合いの匙加減を心得ることで、衣食住すべてのセンスがピリッとしまります。アートと暮らすその先を提案する「こぉと」ではまさにその匙加減がとても大切。そんな話から2人のケータリングユニットの名前に「匙」という単語を入れることになりました。そしてアートアドバイザーの私が提案するライフスタイルに寄り添ったごはんにしたいという彼女たちの申し出から「et saji」と名付けることになったのです。

何年も前のお鮨屋さんのカウンターで耳にしたやり取りが実に面白く今でも忘れることができません。何席か向こうにいた男性客が「大将、プロと素人の違いはなんや?」と突然尋ねたのです。「あら、なんて直球ストレートな質問なのかしら」と思わず聞き耳を立てたてたころ、間髪入れず返ってきた返答に「なるほど」と思わず膝を打つ思いでした。

「プロは味がずっと同じ。素人の怖いところはたまにプロを上回るものを作る。でもそれはずっとは続かない」

それ以降自分が作った一品が会心の味に仕上がった時も必ずその言葉を思い出します。そしてその言葉通り2週間後に同じ献立を作っても同じにはならない。そんな時は味が再現できずがっかりしつつも、やっぱり私は素人なんだとクスリと心の中で笑ってしまうのです。プロは安定した匙加減を持続するから同じ味を造り続けることができるのですね。けれど一方で気分に合わせて匙加減を調整できるのも素人料理の良さかもしれません。プロの匙加減は美味しさを追求するため毎日の献立には塩辛かったりしますもの。

やり過ぎず、自分たちなりの匙加減をわきまえつつ、新鮮な明日香の野菜を使った「こぉとなお弁当」やら「こぉとなケータリング」 そんな料理を彼女たちと作っていけたらと考えています。頭を柔らかくいろんなアイデアも取り入れつつつ根っこのところはシンプルに。地味なりに一捻り、派手さはないけどこだわりのある、それが私の考える理想の食の形。料理に作り手の心持ちなども反映できればなお嬉しい。

「こぉとな匙加減」を皆さんと共有できますように。
2021/03/07

音のオハナシ


*「こぉと」計画中に感じたことを様々な切り口のオハナシで綴っていきたいと思います*

一番最初は「音」のオハナシです。

計画が始まったばかりの打ち合わせでのこと。ひとともりの長坂氏が私に尋ねました。

「奥村さん、音はどうしますか?」

つまりスピーカーを設置するかどうかということです。私は即座に「音は必要ありません」と答えました。というのも私はカフェやレストランで流れるバックミュージックというものがどうにも苦手。海外のそれらのように、人々が静かに会話する音や食器の重なり合う音が混ざりあう心地の良い音で満たされる空間が、日本でも普通になればいいのにと常々思っているからです。そしてこの静かな場所では鳥のさえずりや風が緑を揺らす音、そんな自然が生み出す音を聞きながら作品に向き合ってほしいとずっと考えていました。

昔、アマンキラに滞在した時に極上のサービスとは「音のないこと」だと感じたことがあります。プールサイドで水をお願いしようとふと顔を上げると足音も立てずに瞬時に歩み寄ってくるスタッフの身のこなしはとても優雅で、レストランで食事をサーブされる時には食器の音さえ聞こえません。頭の中で「ことり」という音の文字が浮かぶのだけれど実際には音がしない。音を立てない動きは丁寧で洗練されていて美しく、サービスを受ける方もとても心地の良いものだと心に深く刻まれました。余計な音のない場所での波のさざめきががどれほど気持ちの良い音だったかは言うまでもありません。この”音なき音”こそ”最高の音”であるとその時つくづく思いました。

一方(音楽とは別に)心地のよい音もたくさんあります。たとえば腕の良い職人さんが作業中に奏でる(あえてそう言います)音。「こぉと」施工中に私は幾度もその音を聞く幸運に恵まれました。特に左官工事の職人さんのそれは素晴らしかった。「ざっ」「しゃっ」と軽快で小気味良い音を聞きながらずっとその作業を見続けていたい気持ちになったほど。当然ながら完成した壁は美しく完璧。ここでは最高の”音のある音”の一つに出会いました。その音はアマンキラで記憶に残った最高の”音のない音”とは対極に最高の”音のある音”として同じく私の記憶に残ることになるでしょう。

空間がほぼ出来上がった頃、一人でぼんやりその場所に身をおきながら聞こえてきたのは鶯の澄み切った美しい鳴き声でした。

その時私は音の無い空間にこだわったことが正解であったと改めて悟ったのです。
2021/03/06

こぉとのオハナシ


「アートを暮らしに」と提唱し続けてきた私の役割はほぼ終わったと実は2年ほど前から感じています。昨今同じようなことを唱える方も多くなってきたし、様々な媒体でインテリアにアートを取り入れるコツをレクチャーしている特集を目にするようになりました。

その流れをとても喜ばしく思うと同時に、インテリアにアートを取り入れてもらうべく孤軍奮闘していたあの頃を振り返り、懐かしくさえあります。私の担ってきた(というとたいそう大げさで偉そうに聞こえるかもしれませんが)役割のバトンを渡すべき時期に来ているのかもしれません。とはいえ、これから先も良い作品を多くの方に届けたいという気持ちに変わりはなく、アートアドバイザーとしての仕事は続けるつもりです。ただ今までと少し違った新しい試みにチャレンジしたいという気持ちが徐々に大きくなってきました。

これまでは「アートと暮らすとどれだけ生活が豊かになり心が満たされるか」をお伝えすることが出発点でしたが、これからはすでにアートと暮らしている人が、どういう暮らしを求めるようになったかの視点で生活全般を提案したいと思うのです。つまり「アートと暮らすことでどんな心持ちに変化していくのか」というアプローチでしょうか。さらには「アートと暮らすとどんな風に暮らしたくなるのか?」そういったことをこれからは提案していくつもりです。

そんな中つらつら考えるうちについに小さなプライベートビューイングスペースを構える決断をしました。古い日本家屋の一部を改装しそこから「アートを購入したその先」といったものを発信したいと考えたのです。

そしてその空間の名前を考えているうちにふと「こぉと」という言葉が自然と頭に浮かんできました。おそらく多くの方にとってはあまり聞き馴染みのない表現でしょう。古いなにわ言葉であらためて調べてみると”派手の対極”にある形容詞で、”渋い・地味だけと品が良く人の目をひく””渋くて趣がある””質素で上品”という意味があります。「こぉと」と小さくつぶやいた時、小さな頃からちょっと渋いものが好きだった私が何かを選んだ際に、よく祖母から「えらいこぉとな趣味やね」と言われていた記憶が鮮やかに蘇ってきました。

アートと暮らすと華美なものにあまり興味がなくなり衣食住すべてにおいてもっと素のものというか真髄に迫ったものに心惹かれる気がします。衣食住ことさら主張するものではなくとも、でも実はとてもこだわりがあったりするものを求めたくなる感じ。そんな想いを込めるのに「こぉと」の表現がしっくりきたのです。華やかなアートシーンとはかけ離れた遠くの場所で、私はこの先も地味にひっそりと、けれど私なりの頑なな信念をもってアートと関わっていきたいと強く思います。

「こぉと」は主にセミナー開催やアート中之島と連動したプライベートビューイングスペースとして活用していく予定です。そして同時に田舎に暮らすアートアドバイザーである私のライフスタイル発信の場所として皆様に何かをお伝えしていけたらと考えています。

アートと暮らすその先にあること。

どんな空間に暮らしたいの?
何を着たいの?
どんな香りと暮らしたいの?
何を着たいの?
コーヒーやお茶はどんなのが好き?

そんなことを考えつつ近い将来コラボ商品も手掛けるつもりです。

ブログを綴り出したころからの妄想事項は、、、

雑誌でインテリアとアートの連載をしたい。
小さくても自分の大好きな作品を集めたアートフェアを開催したい。
本を出したい。
本屋さんで奥村セレクト書棚を作ってもらいたい。
プライベートビューイングルームとして小さな空間を持ちたい

言霊の威力は恐ろしく、ずっと言い続けているうちになんとすべてが実現してしまいました。

けれど私はまだまだ先に進みます。

「アートを暮らしに」の熱い想いははもう十分にたくさんの方に伝わったはず。

さらに先に。もっと先に。