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2016/09/25

クリスチャン・ボルタンスキー「アニミタス_さざめく亡霊たち」~東京都庭園美術館

大好きな美術館の一つである東京都庭園美術館で始まったボルタンスキー展。これは2016間違いなく観るべきそして感じるべき展覧会です!

ボルタンスキーというアーティストの名前に聞き覚えが無い方でも”豊島にある心臓の音が聞こえてくる建物”と言えば聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか?ちょっと(かなり?)難解なイメージがあるボルタンスキー作品ですが、庭園美術館という空間に見事なまでに馴染み、一体化し、展覧会タイトルにあるように氏が作り出した亡霊たちがそのまま住み着いてしまったようにも思えます。インタビューの中で氏が「空間にコラージュする」といったようなことを話されていましたが、まさにその通りの印象なのです。

建物を入ると抑揚のない男女の会話がどこからともなく聞こえてきます。それらを耳にすると、この建物にかつて住んでいた人々の亡霊がそこかしこに現れているような気になり、脈絡のない一つ一つの会話に想像力を掻き立てられます。(これだけ聞くとちょっと怖い???大丈夫ですよ、、、笑)

建物2階には豊島の「心臓音のアーカイブ」から提供された「心臓音」そして幻想的なインスタレーション「影の劇場」が展示されています。土日は旧館部分での撮影はNGなので写真はありませんが、よしんばここで写真を紹介したとしてもまったく意味をなさないでしょう。なぜなら行ってそこで感じるしかないからです。

こちらは新館に展示されいた「眼差し」という作品の風景です。氏が取り上げるテーマは今まで一貫して「匿名の個人」「集団の生(生存)と死(消滅)」そして「記憶」 そこにはユダヤ系フランス人を父に持つ氏が、ホロコーストというおぞましく不幸な出来事に人生を蹂躙された人々に思いをはせているであろうことが強く感じられます。

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この作品の中央には金色のエマージェンシー・ブランケットが覆う大量の古着「帰郷」が鎮座していますが、古着もかつて存在したものとしての”不在”を表す暗示として使われているのです。

私はこの空間で全身に鳥肌が立ち涙があふれてきました。美し過ぎる展示に潜むその重すぎる意味、そしてそれらが放つメッセージを心が受け止める瞬間に私はどうしようもなく現代アートへの愛と畏怖と尊敬のようなものが自身の中に溢れてくる気がするのです。

さてこちらの映像作品。実は昨年ベネチアのアルセナーレ会場で観ていたのですが、その時は今回ほど心に迫ってはこなかったのです。(体力・気力の限界を迎えていたからか、、、)ところが今回は違いました。

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チリのアタカマ砂漠に設置された数百の日本製の風鈴が風に揺られチリンチリンと音を奏でるこの風景。なんとボルタンスキー氏が生まれた時の星の配置を描いています。作品タイトル「アニミタ」はスペイン語で交通事故などで亡くなった人々に手向けられた小さな祭壇を意味し、その意味は”小さな魂”なんだそう。会場全体には藁が敷きつけられており、あたかも鑑賞者はその場所に立っているような錯覚を覚えます。この作品の裏には今年完成したばかりのこちらも豊島の森にある「ささやきの森」の映像作品が展示されています。

氏のインタビュー映像もとても心に残るものでした。とにかく足を運んでみてください。。。

会期は12月25日迄。どうぞお見逃しなきよう。

*インスタグラムも是非覗いてみてくださいね!


2016/09/20

「アートと暮らすインテリア」 パイ インターナショナル

取材協力させて頂いた本が発売されました。インテリアの世界からアートの世界に飛び込んで10年以上経ちましたが、やっとこんな本が出るようになったんだと感慨無量。。。

私を含めアートをそれぞれ楽しんでいる15名の住まいが紹介されています。また巻末の「アートと暮らすインテリアQ&A」では監修も務めさせていただきました。(自分で言うのもなんですが、めっちゃええこと言うてるんですわ、これが、、、笑)

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インスタグラム上から私を探し出してくれたエディターのKさん、素晴らしい写真を撮ってくれたAさんに心から感謝を申し上げます。たくさんの方の眼にとまり、アートと暮らすきっかけの1冊となりますように。。。

大型書店のインテリアコーナーにありますが、見つからない方はこちらからポチッとしてくださいね!

*インスタグラムも是非のぞいてみてくださいね!
2016/09/16

田中朝子”b"~ギャラリーノマル

田中朝子氏の初の作品集出版を記念した展覧会が開催されています。いつもとは違うダイナミックな展示、そしていつも通りの緻密な構成が相まった意欲的な展覧会。そこには彼女のこれまでの着実な歩みとこれからの可能性を感じます。

今回の展示では今まで扱ってきた作品を巨大壁画のように再現しています。

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彼女の取り上げるモチーフは日常に普通に転がっているものたち。それらに面白さを見出しているのですが、クスッと素直に笑える時もあれば、なんだか底知れぬブラックなユーモアを感じる時もあったりして、、、そこが作品の魅力だったりするのです。

これらは全て写真作品を和紙上に版画にし、直接水糊を使って壁に貼り付けています。なんでもこれだけ大きな版を刷る機械は日本にはないそうで、一点を除き全作品が和紙を張り合わせた状態で制作されているのです。

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こちらのコーヒーカップの作品は本当に素敵だった。。。

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私はあいにく先週のオープニングパーティーには伺えなかったのですが、今日は贅沢なことにこの空間を独り占め。これを最高の贅沢と言わずしてなんと呼ぶんでしょう!

そして出版された作品集がこちら。タイトル”b”はご存じのように「半音下」という音楽記号。その記号が表す微妙な”ズレ”こそ彼女の作品の”キモ”なのですね。そして本の中で紹介されているすべての作品は実際に30×30、60×60、100×100とサイズを選び購入することができます。

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本の帯にあるキュレーター真武真喜子氏の言葉がとても面白いのでご紹介しますね。

「こぼれたミルクはまた注げばいいのだ。」これはこぼれたミルクが星形に見えるまで何度も何度もミルクをこぼし続けた田中氏のエピソードを元にしています。そう、田中朝子はいつだって一生懸命。。。ワタシ、このブログ書きながら不覚にも涙溢れてきました。

田中朝子!出版おめでとう!

会期は10月8日迄ですので皆様是非に!