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2018/04/17

アートインフラ工事中

昨日とある会社の新社屋にアートを納めてきました。こちらの取締役のお住まいにアートをコーディネートさせていただいご縁からお話をいただいたのです。取引先の方からお祝いを贈られることになり、それだったら奥村さんにアートを選んでもらおうと思いつかれたのだとか。ありがたいお話で本当に嬉しく思いました。

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渋い色合いの風合いあるクロスが作品をさらに引き立てとても良い感じになりました。実はここは液晶テレビがかかる場所だったのですが、急遽アートのための展示コーナーとなり、掘り込んだ壁をニッチのような感じで使うことになったのです。なので平面作品より少しボリュームのある立体作品の方がより映えるのではとこちらの作品を選びました。

お家のアート同様とても喜んでいただきほっと一安心。さらには社長室にもアートのご依頼をいただき幸せな気持ちで帰途につきました。

帰りの電車でふと思ったのですが私の仕事はまさにアートインフラ工事だなと。現代アートに無縁だったお客様が自宅にアートを入れたことがきっかけでその大切さに目覚めてオフィスにまでアートを入れようと思われる。このことからもっと大きな視野で現代アートを捉えるようになって興味が湧いてくる、、、そんな方たちが増えていけば日本のアート界だってもっとすそ野が広がり、そのことから厚みが増していくのではないかと信じています。

先日京都でたまたまゴッホ展に出かけましたが、美術館に入るなりちょっぴり後悔。余りの人の多さに作品なんて見えないんですもの!(笑)その時ぼんやり考えました。ゴッホを観に行く私、京都でアートに触れる私、、、そんな人たちの何割のお住まいにアートが飾られているんだろうかと。。。

橋を作ったりトンネル掘ったり、それに直接携わっておられる方は表にでることはありませんが、ご本人たちは完成を迎えた時、さらには長きに渡って多くの人の役に立っていることを誇らしく思っておられることでしょう。ご苦労やご努力はわたしなんぞ比べ物になりませんが、同じような心持でアートインフラをできるかぎりコツコツと進めていきたいなと思うのです。自宅にアートがある、そんなベースがあってこそ美術館での鑑賞ももっと楽しいものになるのではないでしょうか?

未だアート業界では認知度うんと低い私ですが、表にでることより密かにアートインフラ工事やってる方が性にあってる気がします。手先不器用だけど心は頑固職人だから。。。(笑)



2018/02/27

心の風景を映し出すもの

昨年秋の大阪でのフェア、東京でのイベントと続き、ありがたいことに多くのお客様のアート選びに深く関わらせていただくことができました。そしてお客様の一つ一つのアートへの想いというものに以前にもまして私自身がより真剣に向かい合うことができるようになった気がします。ここ最近作品の印象、タイトルといったものがまさに今のお客様の心情だと思えるような出来事が続いたからかもしれません。

先日のイベントでも「10年後」というタイトルの作品をファーストピースでお買い求めいただいたとても可愛らしい若い女性がいらっしゃいました。初めてお目にかかるその方がタイトルをポツリと呟かれた時になんだか胸がきゅんとして熱くなったのです。どんな10年後の風景が彼女の中に今あるんだろうって。

また別の方はタヒチの新婚旅行で見たサンセットのイメージを作品の中に見出され、そんな幸せな記憶が作品を通して蘇ってきたことに私も嬉しくなってしまうといった出来事もありました。他にも絵の中に見つけた色や筆遣いにそれぞれのお客様の記憶や今の心情と言ったものが重なっているであろう瞬間に触れる度に小さな感動を覚えたのです。

もしかするとタイトルだって制作意図だって作家の想いとずれているかもしれません。けれどそれらについては後から知ってもいい訳で、まずはご自身が作品をどうとらえるかが大事だとつくづく思います。

さて先週の日曜日秋のイベントでお決め頂いた作品を納品してきました。

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すでにたくさんの作品をお持ちのT美さんがコレクションに加えたのは鳥が羽ばたく様子を臨場感たっぷりに、しかもステンレスミラーを使って表現した作品です。

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T美さんとのお付き合いもすでに10年を過ぎお客様とアドバイザーという関係を越え、とても仲良くさせていただいています。そんなT美さんのお母様が昨年末にお母様が天国に旅立たれました。とても華やかでお綺麗で明るく、まさに大輪の薔薇のような方で、いつもお目にかかるのを楽しみにしていました。そんな悲しい出来事を挟んでの納品だったのですが、設置が終わった時、作品の光景とT美さんの心情がなんとなくリンクしたような不思議な感じでした。最愛のお母様の旅立ちとこれからのT美さんが力強く羽ばたいていく両方のイメージが私の中でもぴたりと合わさったのです。

なので帰宅してからT美さんから「ファーストピースを迎えた時のように心が躍っている」とラインが届いたときには本当に嬉しく感動しました。

その人が選ぶアートはその人自身の心の風景でもあるのだ

今更ながらそんな風に思えます。



2018/02/15

アートだけでなくアートを含めたライフスタイル

私はコレクターではなく、単なるアート大好きな人間です。アートを集めることに興味はなくアートと暮らすことに興味があります。そのせいかお客様にも飾ることを前提としてアートのアドバイスをさせていただいています。毎回言っていますがそれは単に「インテリアに合うからどうですか?「」というものではなく「手に入れたアートと四季の移ろいまで一緒に楽しんでほしい」といった類のアドバイスです。

なので季節の花と一緒にアートを飾っている様子や季節ごとにアートを掛け替えておられる様子などを拝見する度にとても幸せな気持ちになります。そしてその都度私はアートだけをお売りしているのではなく”アートと暮らす生活提案”みたいなものを付加価値としてお付けしていることにほんのちょっぴり誇らしくなるのです

以前作品がお嫁入りしたお住まいでの最近の写真です。フェアごとに作品を購入していただいているH様の素敵な壁あしらい。タイプも作家もまちまちなのにとても上手にコーディネートなさっていて、春夏パターン、秋冬パターンと、まめに作品を掛け替え楽しんでおられます。とてもセンスのある方なので飾り方も申し分ありません!作品だってこんな風にずっと飾ってもらえると嬉しいですよね。

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もうお一方もこれまたセンス抜群のT様邸。本来は彼女のインスタグラムで季節の花を投稿していたんですが、この風景の中にアートがあるのとないのでは違うな~とリポストさせていただいたんです。お花が空間にあるようにアートだって自然に存在してほしいと思います。

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ここ最近、私の仕事は「アートを勧めることだけではないんだ」という気持ちが以前より強くなってきた気がします。それは本を出版して自分の気持ちに改めて向かい合ったことも大きいのですが、昨年秋のフェアと先日の東京でのイベントでアートを購入してくださった方々とのやり取りで得たこともかなり影響しています。

やっぱり私はアートだけではなくアートを含めたライフスタイルみたいなものに一番興味があるのです。それに皆さんが共感してくださって私から作品を購入してくださるのだと思います。そしてそんな世界観をもっと多くの方と共有してアートを生活に取り入れてもらうにはどうしたらいいんだろうと、またしても悩む日々。

次に進む道筋がふんわりと頭に浮かびますが、まだ自分でもつかめていません。

でも一つ言えるのは本の中に書いた「変なもの」が実は私の住空間にもちょぴり増えてきていて、それらを排除することで次に進めるんじゃないかなということ。物質的なことだけでなく、精神的な面においてもです。

もっとシンプルにもっとセンスを磨きたい。つくづくそう願います。

さて、私はどこへ向かっていくのでしょう???(笑)





2018/02/12

罪悪感ゼロのお買い物

洋服を以前ほど買わなくなってからというもの、よほどの理由づけがあって購入した場合以外は「あ~別にこの1枚は買わなくてよかったんじゃないのか~」とドヨ~ンと罪悪感が押し寄せてきます。意味なく洋服を買って増やし続けていた頃を思い返し「間(あいだ)はないんかいっ!」と毎回自己ツッコミ、、、

そんな中私にとっての罪悪感ゼロのお買い物といえばやはりアートに他なりません。なんで罪悪感ゼロなんだと考えると、まずはしっかり元が取れるってことかな?(どこまでも関西人だ)だって洋服と違ってず~っと楽しめるし、精神的にものすごく満足するお買い物だと思うから。その上、魂をピリッと刺激してくれ、心と体、そして頭に良い影響を与えてくれる最高にクールで知的なお買い物だと信じ切っているからです。

という訳でお客様にお勧めするだけでなく機会あるごとにせっせと作品を買い求めていますが、今年初買いアートはこちらの田幡浩一氏の作品です。アートが届いて多くの方がなさるように意味なく作品の前に立ち眺めています。「買ってよかった~」って。

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以前、氏のフォトコラージュの作品を購入したことがあるのですが、次はペインティングをずっと狙っていたのです。同じシリーズで色の濃淡でどれにするかちょっと悩んだものの、購入については即決即断!迷い無し!同じ金額のバッグなら1年悩んでやめるのにアートだけは潔い!(笑)もちろん私は自分で稼いだ範囲でをコツコツ買っているのでどど~んとした金額の作品を即決即断はできませんが(てか、買えませんよ、苦笑)自分なりのバジェットの範囲なら買おうといつも心掛けています。でね、洋服と真逆でアートを買った時は「偉いよ!アタシ」ってすごく褒めてあげるのです。

もっと昔からこういう人でいたかった。。。











2018/02/08

野望果てなく、、、

この仕事をしていて何が一番感動するってやはりファーストピースを手にしたお客様の感動の瞬間に立ち会えることかもしれません。皆さん、一様にお顔がぱっと華やぎ、目がきらきらになる、そんななんともいえない瞬間です。今回の東京のイベントでは残念ながら私自身が作品をお届けすることはできませんでしたが、その後のやり取りで少なくとも感動の共有はできたのではないかと思います。今日もそんな感動を分かち合えたと思える方のご紹介です。

初日どなたも来ないんじゃないかな~とドキドキしながらギャラリーにいると、一番最初に来てくださったのはお洒落で素敵な2人連れのマダムたちでした。お一人の方が私のことを本を通じて知ってくださり、ご友人を誘っていらしてくださったのです。いろいろお話をしながらリビングの様子なども画像で拝見したのですが、とっても素敵なインテリア!あ~でも残念💦アートがない!!

大阪のフェアでもそうですが、ここ最近ご自宅にアートをお考えの方には室内の様子をあらかじめ撮影した画像を持ってきていただくようお願いしています。お越しになられる方はこれを実践してくださっていて、初めてお目にかかる方々とも打ち合わせがとてもスムーズに進みます。もちろん普通のギャラリーではその場でインテリアの話にまで発展するような打ち合わせはありませんから、皆さんにとても喜んでいただいています。数少ない私の”ウリ”です(笑)

そんなIさまがお気に入られたのは岩名泰岳氏の作品でした。白ベースにしたそれは美しく、けれど力強い作品です。その柔らかな色調とは裏腹になんとタイトルは「けものみち」 そのワイルドなタイトルに一瞬3人で盛り上がったものの私の中ではI様のイメージとインテリアの雰囲気からこれに決めていただきたいな~と思っていたのです。

他の候補もあったのですが、結局こちらの作品に決定!!ちょうどI様の節目にあたる年にめでたくファーストピースを手に入れられることとなりました。パチパチパチ!!!

そして昨日作品を飾られた様子が届きました。あ~やはりぴったりだった~しかもソファのセンターをちょっと外した感じで飾られているのも粋で素敵!

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今回も嬉しいメールが添えられていました。一部ご紹介させてくださいね。

”何もない壁に置いたとたんに部屋の雰囲気が変わり驚きと感動です。
家族が集まるリビングに飾ったのですが、眺めていると豊かな気持ちになり、あるだけで気持ちが落ち着く、そんな作品のベストポジションだと思っています。本当に素敵です!”

中略

”機会がありましたら岩名さんにもお会いしたいですし、色々なアートにも出会いたい!野望⁉︎止まりません!”

そうなんです。現代アートの素晴らしい点は今同じ時代を生きている作家と直に話せること。若い作家ならさらなる楽しみもあります。作品を購入したことにより彼らの応援団となり、その後の成長や作風の変化といったものも見ることができるからです。

野望、、、いいですね。私もいつもアート買いたい野望まみれ、、、